ある大手ブランドの制作会議で、AI クリエイティブ導入の議題が上がる。「どのツールを使いますか」から始まった会話は、「どこまで内製化しますか」「既存の発注先との関係はどうしますか」「社内で判断できる体制は整っていますか」へと広がっていく。ツールの選定は、方針と体制の入口でしかない、と気づく瞬間です。

中長期で見たとき、重要なのはツールの使用判断ではありません。制作方針と体制の確立です。

弊社が 10 都市・20 社以上のブランド企業と AI クリエイティブを世の中へ実装してきたなかで、多くの企業やブランドから、AI 技術を社内でどこまで活用するかの判断軸を持ちたい、今後の制作体制のあり方を検証したい、といった声を受けてきました。

見直すべき最初の対象は、制作方針です。

商品を世の中へ知ってもらうためのクリエイティブ施策は、企業やブランドが AI 技術を最も活用しやすい第一歩目です。商品ビジュアルへの AI 技術活用は、クリエイティブの種類やパターンを短時間で多く制作できるなど明確な目的を持ち、多くの企業が最初のステップとして取り組みやすい領域といえます。反対に、高いアイデア性やクオリティが求められるキャンペーン全体の企画、高度な演出、最終的な映像仕上げは、AI 技術を深く理解した外部チームと組む方が適します。企業ごとに、この線引きを決めるための技術検証が、方針確立への最短経路です。

方針を決めないまま自社で AI ツールを試すと、検証作業が増えても、制作方法の見直しにはつながりにくくなります。AI 技術を活用するために必要な方針を、技術パートナーや AI 技術を深く理解している制作会社と決めてから、検証を進めます。そこではじめて、意味のある検証になります。

方針の次に変わるのは、体制です。

これまで行なってきた「企画から修正まで外部へ依頼する体制」から、まず「社内担当者が素材や方向性を用意し、外部専門家が表現と完成品質を担う協力型の体制」へ移していきます。判断軸が育った領域は、将来的に、社内チームが制作と編集を完結できるようにします。

この順序で進めれば、いきなり全工程を内製化せずに、予算・承認・品質のバランスを確かめられます。短期での公開も、段階的に標準化できます。

一方、検討段階に進めていない、あるいはこの変化への対応が遅れる可能性のある企業は、次の 4 つの共通する足止め要因を抱えています。「既存の発注先との関係を見直すきっかけがつかめない」「社内に AI クリエイティブを理解している人がいない」「競合他社の活用状況が把握できない」「信頼できる情報が業界に少ない」

こうした状況を越えるために、弊社では、これまで培ってきた実績をもとに、学習機会の獲得と小規模な AI 技術検証(PoC)から始めることをご提案しています。弊社の PoC・プロジェクト開発は、案件によって最短 5 日から 2 週間の短期検証として設計できます。ひとつの制作工程を選び、現在の発注方法と何がどう変わるかを確認します。この検証で得られる判断軸が、次の方針決定の材料になります。

弊社は生成 AI 黎明期から、10 都市・20 社以上のブランド企業と、AI クリエイティブと AI 技術によるブランドコミュニケーションに取り組んできました。学習・人材研修/PoC・プロジェクト開発/社内技術導入/設計・伴走の四段階でサービスを公開しています